こんにちは、Canaです。
前回は個人住民税と個人事業税・消費税について解説しました。
今回は、法人税について紹介していきます。
法人税の基本
①法人税とは
法人税とは、法人の各事業年度の所得に対して課される税金をいいます。
②法人の種類と納税義務
内国法人 (国内に本店または主たる事務所を有する法人) | 外国法人 (外国に本店または主たる事務所を有する法人) |
国内所得だけでなく海外で稼いだ所得も納税義務を負う | 国内で稼いだ所得のみ納税義務を負う |
③会計上の利益と税法上の利益
会計上の利益 | 税法上の利益(課税所得) |
収益-費用 | 益金-損金 |

「収益=益金」「費用=益金」ではないから会計上の利益と税法上の利益は一致しないよ~
④課税所得の計算
法人税額=課税所得×税率

課税所得は会計上の利益に調整を加えて計算=税務調整だよ~
取扱い | 調整 | |
損金不算入額 | 会計上:費用として計上している 税法上:損金とならない | 会計上の利益に加算 |
損金算入額 | 会計上:費用として計上していない 税法上:損金となる | 会計上の利益から減算 |
益金不算入額 | 会計上:収益として計上している 税法上:益金とならない | 会計上の利益から減算 |
益金算入額 | 会計上:収益として計上していない 税法上:益金となる | 回騎乗の利益に加算 |
会計上の利益+損金不算入額(益金算入額)-損金算入額(益金算入額)=課税所得
②租税公課:損金に算入できるものとできないものがある
損金算入 | 損金不算入 |
・法人事業税 ・印紙税 ・都市計画税 ・固定資産税 ・登録免許税 ・不動産取得税 など | ・法人税 ・罰科金 ・法人住民税 ・印紙税の過怠税 など |
③減価償却費:損金経理した額のうち償却限度額まで損金算入可。少額の減価償却資産の取り扱いは所得税と同様。
償却方法 | |
建物 | 定額法 |
建物付属設備・構築物 | 定額法 |
その他の減価償却資産 | 定額法または定率法 (償却方法を選定しなかった場合の法定償却方法は定率法) |

2016年4月1日以降に取得するものだね(鉱業用を除く)
④給与:従業員に対する給与は全額損金算入
役員給与は以下の適正な金額は損金算入、不相当に高額な部分は損金不算入
定期同額給与 | 1月以下の一定期間ごとに一定額が支給される給与 |
事前確定届出給与 | 所定の時期に確定額を支給することをあらかじめ所轄税務署長に届け出ている給与 |
利益連動給与 | 業績連動型で支給額の算定方法が客観的である給与 |
上記以外 | 上記以外は損金不算入 |

事前確定届出給与は届け出ていたものと異なる金額を支給した場合に全額損金不算入だよ~

役員に対する退職金は不相当に高額な部分を除いて損金算入可能だよ
⑤青色欠損金の繰越控除
青色申告書を提出した法人は、その事業年度に生じた欠損金を翌年以降10年間繰り越すことができます。
法人と役員間の取引
法人と役員の間で行われる一定の取引については給与として取り扱います。
取引 | 給与となる金額 |
法人の資産を役員に無償で贈与 | 資産の時価 |
法人の資産を役員に定額で売却 | 資産の時価-売却額 |
法人が役員の資産を高額で購入 | 購入価額-資産の時価 |
法人が役員に定額で住宅を貸与 | 通常の家賃-賃貸料 |
法人が役員の債務を無償で引き受け | 引き受けた債務額 |
法人が役員に低利子で金銭を貸付 | 通常の利子-受取利子 |
また、役員が所有する土地を法人に無償で譲渡した場合、法人は定期性な時価を受贈益として処理します。なお、役員が法人に無利息で金銭の貸付けを行った場合、課税関係は生じません。
法人税額の計算
課税所得に法人税率(比例税率)を掛けて計算します。

比例税率は所得金額にかかわらず一律に適用する税率のことだよ~
法人区分 | 法人税率 |
期末資本金1億円超の法人(大法人) | 23.2% |
期末資本金1億円以下の法人(中小法人) | 年800万円以下の部分→15% 年800万円超の部分→23.2% |
法人税の申告と納付
①青色申告
青色申告の特典を受けるには「青色申告承認申請書」を所轄税務署長に提出し、承認を受ける必要があります。

②申告と納付
確定申告 | 原則として各事業年度終了の日の翌日から2か月以内に法印税の申告および納付をしなければならない。 ※株主総会開催の特例を受ける場合は3か月以内。一定の場合は6か月以内 |
中間申告 | ・事業年度が6か月を超える法人で、前期の法人税額が20万円を超えた法人は、上半期分について、上半期終了の日の翌日から2か月以内に法人税の申告および納付をしなければならない。 |
③納税地
内国法人:その法人の本店または主たる事務所の所在地
外国法人:日本国内にある事務所の所在地
決算書
法人が作成する決算書には以下のようなものがあります。
損益計算書 | 一会計期間における企業の経営成績を表す書類 |
貸借対照表 | 一定時点における企業の財政状態を表す書類 |
株主資本等変動計算書 | 一会計期間における企業の純資産の変動状況を表す書類 |
キャッシュフロー計算書 | 一会計期間におけるキャッシュの増減を表す書類 |
法人住民税と法人事業税
①法人住民税
都道府県民税 | 均等割:資本金の額に応じて課税 法人税制:法人税額に税率を掛けて計算→標準税率1% |
市町村民税 | 均等割:資本金の額および従業員数に応じて課税 法人税制:法人税額に税率を掛けて計算→標準税率6% |
②法人事業税
課税所得に税率を掛けて計算します。
資本金が1億円超の法人には外形標準課税が適用されます。
法人成り
個人事業から会社形態にすることを法人成りといいます。
メリット | デメリット |
・所得が多い場合は所得税より法人税が有利 ・経営者の報酬を費用計上できる ・退職金を費用計上できる | ・交際費の形状に制限がある ・赤子の場合でも法人住民税の負担がある ・設立費用がかかり記帳や事務手続きも煩雑 |
次回は、不動産の基本について解説します。